SESを辞めたい人へ|理由の切り分けと転職前に確認すること

SESを辞めるか転職するかを検討するITエンジニア ITエンジニア転職

SESで働きながら、「客先常駐を続けるのがつらい」「希望する開発経験を積めない」「評価や給与の決まり方が分からない」と感じ、辞めるべきか迷っている人もいるでしょう。

ただし、「SESを辞めたい」という気持ちだけで転職先を決めると、次の会社でも似た悩みを抱える可能性があります。現在の問題が、配属案件にあるのか、所属会社の制度にあるのか、仕事内容そのものにあるのかで、必要な対応は異なるからです。

この記事では、SESを辞めたいと感じる理由を切り分け、案件変更や社内相談で改善できるケースと、転職を具体的に進めたほうがよいケースを整理します。退職を伝える前に確認したい生活費、応募準備、労働条件、引き継ぎについても順番に解説します。

  1. SESを辞めたい理由を4つに切り分ける
    1. 配属案件に原因がある場合
    2. 所属会社に原因がある場合
    3. 仕事内容やキャリアに原因がある場合
    4. 健康や安全に関わる場合
  2. 案件変更で改善できるケースと転職を進めたいケース
    1. 現職へ相談するときは希望を具体化する
    2. 回答は期限と条件を記録する
  3. SESを辞めたいときに避けたい5つの決め方
    1. 1.「SESではない会社」だけを条件にする
    2. 2.つらい案件の反対をそのまま選ぶ
    3. 3.内定前に退職を急ぐ
    4. 4.転職理由を現職への不満だけで説明する
    5. 5.給与の総額だけを比較する
  4. 転職活動を始める前に経験を棚卸しする
  5. 転職先に求める条件を3段階に分ける
  6. 求人票と面接で確認する8項目
  7. 退職を伝える前に確認したい7つのこと
    1. 1.雇用契約と就業規則
    2. 2.生活費と転職活動期間
    3. 3.有給休暇の残日数
    4. 4.引き継げる情報と持ち出せない情報
    5. 5.返却物と個人データ
    6. 6.退職後に必要な書類
    7. 7.内定条件の書面
  8. SESを辞めるまでの進め方
    1. ステップ1.1週間、事実を記録する
    2. ステップ2.現職で変えられることを確認する
    3. ステップ3.職務経歴を案件単位で整理する
    4. ステップ4.2~3種類の転職先を比較する
    5. ステップ5.内定条件を一覧にする
    6. ステップ6.退職日と入社日を調整する
  9. SESを辞めたい人からよくある質問
    1. SESを辞めたいのは甘えでしょうか?
    2. 案件が決まった直後でも辞められますか?
    3. 経験1年未満でも転職活動を始めてよいですか?
    4. 転職先が決まる前に退職してもよいですか?
    5. 案件変更と転職活動は同時に進められますか?
    6. 転職エージェントへ何を伝えればよいですか?
  10. まとめ
  11. 記事情報・調査方法
    1. 参考資料

SESを辞めたい理由を4つに切り分ける

同じ「SESを辞めたい」という悩みでも、原因は一つとは限りません。まずは、起きている事実と自分の受け止め方を分け、問題の所在を確認します。

問題の所在 よくある状況 最初に検討する対応
配属案件 希望と違う工程、長時間通勤、一人常駐、夜勤、現場の人間関係 案件変更、体制変更、契約更新時の交渉
所属会社 評価が不透明、希望が通らない、待機時の扱い、教育不足、説明との相違 制度と実績を確認し、改善が難しければ転職
仕事内容・キャリア 監視・テストから進めない、技術が固定される、将来像が見えない 希望工程を明確にし、現職と転職の両方を比較
健康・安全 眠れない、食欲がない、強い不安、ハラスメント、過度な残業 休養、医療機関、社内外の相談窓口を優先

配属案件に原因がある場合

現在の顧客先、担当工程、勤務場所、チーム体制だけが合わないケースです。たとえば、所属会社の評価制度や営業担当との関係には納得しているものの、今回の案件では希望していた開発を担当できない、といった状況が当てはまります。

案件単位の問題なら、転職より先に案件変更を相談する余地があります。ただし、「いつか変更する」という口頭の説明だけで待ち続けないよう、変更時期、希望条件、実現できなかった場合の扱いを具体化してください。

所属会社に原因がある場合

案件を変えても、配属の決め方、評価制度、営業の支援、研修、給与の説明などは所属会社の仕組みに左右されます。複数の案件で同じ問題が起きている場合や、面談で伝えた希望が記録・反映されない場合は、案件ではなく会社側に原因がある可能性があります。

特に、「案件を断ると評価が下がるのか」「待機時の給与はどうなるのか」「次の工程へ進む基準は何か」といった質問に明確な回答がない場合は、転職先を比較し始める判断材料になります。

仕事内容やキャリアに原因がある場合

SESという契約・勤務形態だけでなく、ITエンジニアの仕事そのものに迷いがある場合です。「開発をしたいのに監視が続く」という悩みと、「技術職を続けること自体が合わない」という悩みでは、選ぶべき次の仕事が異なります。

まず、苦手な作業と、続けたい作業を分けてください。たとえば、障害対応は負担でも原因分析は好き、実装は苦手でも顧客への説明は得意、といった組み合わせがあります。得意な役割が分かれば、社内SE、PMO、ITサポート、ITコンサルなど、開発以外の経験の活かし方も検討できます。

健康や安全に関わる場合

心身の不調、ハラスメント、危険な長時間労働などがある場合は、キャリアの比較よりも安全の確保を優先します。日時、場所、発言、業務時間など、確認できる事実を記録し、社内の相談窓口や産業医、医療機関などへ相談してください。

社内で相談しにくい場合、厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、解雇、配置転換、いじめ・嫌がらせなどを含む幅広い職場の問題について、情報提供や相談を受け付けています。緊急性があるときは、転職活動を先に完璧に整えようとせず、休むことや外部へ相談することを優先してください。

案件変更で改善できるケースと転職を進めたいケース

次の表は、現職での改善可能性を考えるための目安です。一つの項目だけで結論を出さず、相談した結果と会社の対応を含めて判断します。

確認する点 案件変更を検討しやすい状態 転職を進めやすい状態
不満の範囲 現在の案件だけに集中している 複数案件や会社制度で繰り返している
会社の対応 変更時期と条件を具体的に提示する 回答が曖昧、約束が繰り返し変わる
希望工程 社内に該当案件と配属実績がある 該当案件が少なく、経験を積む道筋がない
評価・給与 評価基準と昇給条件を説明できる 評価理由や給与の決まり方を確認できない
信頼関係 営業・上司が希望を記録し進捗を共有する 相談内容が放置される、説明と実態が異なる
健康状態 働きながら比較・準備できる 継続によって不調や危険が強まっている

現職へ相談するときは希望を具体化する

「この案件を辞めたい」だけでは、会社側が次の配属条件を判断しにくくなります。変えたい理由と、次に希望する条件をセットで伝えます。

  • 現在の担当:監視、テスト、実装、設計など
  • 変えたい理由:通勤時間、夜勤、工程、技術、体制など
  • 次に希望する条件:Javaの実装、AWSの構築、チーム参画など
  • 希望時期:契約更新月、引き継ぎ期間を踏まえた時期
  • 優先順位:絶対に変えたい条件と、調整できる条件

回答は期限と条件を記録する

面談後は、相談日、相手、希望条件、会社からの回答、次回確認日を記録します。「半年後に変更予定」であれば、半年後に何をもって変更するのか、希望案件がなかった場合にどうするのかまで確認します。

記録の目的は会社を責めることではなく、転職するか待つかを感情だけで判断しないためです。具体的な計画と配属実績が確認できれば現職に残る選択肢があり、説明が曖昧なままなら転職活動を並行できます。

SESを辞めたいときに避けたい5つの決め方

1.「SESではない会社」だけを条件にする

「自社開発」「社内SE」「受託開発」と書かれていても、担当工程、勤務地、客先作業、障害当番、外注比率は企業によって異なります。会社の分類ではなく、自分が変えたい条件を求人票と面接で確認してください。

2.つらい案件の反対をそのまま選ぶ

常駐がつらいからフルリモート、監視がつらいから開発、給与が低いから高単価というように、一つの条件だけを反転させると、別の負担を見落とします。フルリモートでも教育や相談が少ない場合があり、開発職でも納期前の負荷や障害対応があります。

3.内定前に退職を急ぐ

心身の安全に問題がない場合は、在職中に求人を確認し、自分の経験でどのような選考結果になるかを把握してから退職時期を決める方法があります。収入が途切れると、条件より早く決まる会社を優先しやすくなるためです。

一方、健康状態の悪化やハラスメントなどがある場合は、在職中の転職活動にこだわらず、休養や相談を優先してください。

4.転職理由を現職への不満だけで説明する

面接では事実を隠す必要はありませんが、会社批判だけでは次の仕事を選ぶ基準が伝わりません。「テストしかさせてもらえなかった」ではなく、「テスト設計と不具合分析の経験を活かし、次は実装とレビューまで担当したい」のように、経験と希望をつなげます。

5.給与の総額だけを比較する

月給や年収だけでなく、基本給、固定残業代、賞与の算定、手当、試用期間、待機時の扱い、勤務地、夜勤・当番を確認します。転職後の給与が上がっても、固定残業時間や通勤負担が増えれば、希望した改善にならないことがあります。

転職活動を始める前に経験を棚卸しする

SES経験は案件ごとに担当範囲が違うため、会社名と在籍年数だけでは伝わりにくいことがあります。案件ごとに、工程・技術・役割・成果を分けて整理します。

整理項目 記載する内容
案件概要 業界、システムの目的、規模 小売業の在庫管理システム、8名チーム
担当工程 要件定義、設計、実装、テスト、運用 詳細設計、Java実装、単体テスト
技術 言語、クラウド、DB、ツール Java、Spring Boot、PostgreSQL、Git
本人の役割 自分が判断・実行した範囲 機能設計、レビュー指摘への対応、新人支援
工夫と成果 問題、行動、変化 テスト観点を整理し、確認漏れを減らした
次に伸ばす点 不足工程と学習・実務計画 基本設計、顧客との仕様調整

成果を数値で示せない案件でも、変更前と変更後を具体的に説明できます。「運用を担当」ではなく、「障害一次対応の手順を更新し、新任者が判断できる項目を追加した」と書けば、担当範囲と工夫が伝わります。

厚生労働省のマイジョブ・カードには、価値観、強み・弱み、知識・能力・スキルを整理し、就職目標を考えるためのキャリア・プラン作成補助シートがあります。何から整理すべきか迷う場合の補助として利用できます。

転職先に求める条件を3段階に分ける

年収、勤務地、リモート、工程、技術、残業などをすべて必須にすると、比較できる求人が極端に少なくなります。条件を「必須」「できれば」「気にしない」の3段階に分けます。

優先度 意味 設定例
必須 満たさなければ転職目的を達成できない 夜勤なし、開発工程、通勤60分以内
できれば 比較時に有利だが調整可能 週2日リモート、特定の言語、年収増
気にしない 仕事内容や他条件を優先できる 会社規模、知名度、服装

必須条件は3つ程度に絞り、その理由も書きます。「リモート希望」だけでなく、「介護のため週2日は通勤できない」「集中作業の時間を確保したい」など、目的が分かれば代替条件も検討しやすくなります。

転職先の種類を比較したい場合は、関連記事「SESからの転職先はどこがいい?経験別の選択肢と後悔しない進め方」で、条件のよいSES、SIer・受託開発、自社開発、社内SE、ITコンサル・PMO、フリーランスの違いを整理しています。

求人票と面接で確認する8項目

  1. 担当工程:入社直後と半年後に想定される工程
  2. 配属方法:本人希望、会社判断、顧客との面談がどう影響するか
  3. 勤務場所:本社、顧客先、在宅の比率と変更範囲
  4. チーム体制:一人での参画か、自社社員とのチーム参画か
  5. 待機時の扱い:給与、研修、待機期間の実績
  6. 評価制度:単価、技術、顧客評価、社内貢献の反映方法
  7. 勤務時間:残業、夜勤、障害当番、休日対応の頻度
  8. 成長支援:レビュー、1on1、研修、資格支援、上位工程への実績

内定後は、求人票や口頭説明だけでなく、労働条件通知書などの書面を確認します。厚生労働省は、労働契約を結ぶ際に、契約期間、就業場所・業務、労働時間、賃金、退職に関する事項などの労働条件を明示する必要があると案内しています。特に、就業場所と業務の変更範囲、固定残業代、試用期間は、理解できるまで確認してください。

退職を伝える前に確認したい7つのこと

転職先を探す準備と、会社を辞める手続きは分けて考えます。就業規則や雇用契約によって必要な対応が異なるため、まず自分の書類を確認してください。

1.雇用契約と就業規則

雇用期間の定め、退職の申し出方法、申し出期限、秘密保持、貸与物の返却などを確認します。顧客先へ直接伝える前に、所属会社の上司や担当部署へ連絡するのが基本です。

2.生活費と転職活動期間

退職後に転職活動をする場合は、毎月の固定費、税金・社会保険、引っ越しの可能性、活動期間を見積もります。雇用保険の給付条件や時期は個人の状況によって異なるため、退職前にハローワークの最新案内を確認してください。

3.有給休暇の残日数

残日数、希望する取得時期、引き継ぎ日程を確認します。退職直前の年次有給休暇について、労働局は在籍中であれば取得でき、使用者が退職日を越えて時季を変更することはできないと案内しています。実際の日程は、退職日と引き継ぎを含めて早めに会社と調整してください。

4.引き継げる情報と持ち出せない情報

担当業務、未完了事項、関係者、保管場所、定例作業を会社指定の方法で整理します。顧客情報、ソースコード、設計書、アカウント情報などを、転職活動用に持ち出してはいけません。職務経歴書では守秘義務に配慮し、業界、規模、工程、技術、役割を一般化して説明します。

5.返却物と個人データ

社員証、PC、スマートフォン、セキュリティカード、書籍などの貸与物を確認します。会社端末に保存した個人的な連絡先やデータは、社内規程に従って整理し、業務データを個人端末へ移さないようにします。

6.退職後に必要な書類

源泉徴収票、雇用保険被保険者証、離職票、年金や健康保険に関する書類など、必要になるものと受け取り方法を会社へ確認します。次の勤務先が決まっているかどうかによって手続きが変わるため、行政機関の最新情報を確認してください。

7.内定条件の書面

次の会社が決まってから退職する場合は、入社日、職種、勤務地、賃金、試用期間などが書面で確認できる状態にします。「希望案件へ配属予定」など重要な説明がある場合は、どの条件まで確定しているのかを採用担当者へ確認してください。

SESを辞めるまでの進め方

ステップ1.1週間、事実を記録する

つらいと感じた出来事、作業内容、残業、通勤、体調、良かった点を記録します。感情を否定するのではなく、何が起きたときに負担が強くなるのかを見つけるためです。

ステップ2.現職で変えられることを確認する

案件変更、担当工程、チーム体制、勤務場所など、相談できる項目を整理します。会社からの回答には期限を設け、実現条件を記録します。健康や安全に関わる場合は、この手順を飛ばして休養や外部相談を優先します。

ステップ3.職務経歴を案件単位で整理する

案件ごとに、期間、工程、技術、役割、成果をまとめます。求人票の必須条件と照合し、現在の経験で応募できる求人と、準備が必要な求人を分けます。

ステップ4.2~3種類の転職先を比較する

最初から自社開発だけ、社内SEだけと決めず、必須条件を満たす隣接職種も比較します。選考を受けることで、自分の経験がどのように評価されるか、求人票だけでは分からない配属条件も確認できます。

ステップ5.内定条件を一覧にする

仕事内容、勤務地、年収、固定残業、夜勤、当番、リモート、配属方法、評価制度を同じ表へ並べます。「SESではない」という一点ではなく、最初に設定した必須条件を満たすかで判断します。

ステップ6.退職日と入社日を調整する

就業規則、引き継ぎ、有給休暇、必要書類を確認し、所属会社へ正式に伝えます。顧客先との調整は所属会社の指示に従い、個人判断で先に伝えないようにしてください。

SESを辞めたい人からよくある質問

SESを辞めたいのは甘えでしょうか?

辞めたいと感じることだけで甘えとは判断できません。案件、会社制度、仕事内容、健康状態のどこに問題があるかを確認し、改善方法と転職先の条件を整理することが大切です。心身の不調や安全上の問題がある場合は、我慢を続けず相談を優先してください。

案件が決まった直後でも辞められますか?

退職に必要な手続きは、雇用契約の期間や就業規則、個別の事情によって異なります。まず所属会社へ相談し、顧客先へ直接伝えることは避けてください。契約や手続きで判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーなどの公的窓口へ確認します。

経験1年未満でも転職活動を始めてよいですか?

活動を始めることはできますが、応募先によって求める経験が異なります。現在担当している工程、学んだ技術、改善したことを整理し、現時点で応募できる求人と、半年程度経験を積んでから応募する求人を比較してください。

転職先が決まる前に退職してもよいですか?

健康や安全に問題がなければ、在職中に求人と選考結果を確認してから判断する方法があります。先に退職する場合は、生活費、社会保険・税金、必要書類、転職活動期間を見積もります。健康状態が悪い場合は、在職中の活動にこだわらず休養と相談を優先してください。

案件変更と転職活動は同時に進められますか?

同時に進めることは可能です。現職には希望案件と回答期限を確認し、転職市場では自分の経験で選べる求人を確認します。両方の条件を同じ比較表へ並べると、残るか転職するかを判断しやすくなります。

転職エージェントへ何を伝えればよいですか?

「SESを辞めたい」だけでなく、現在の工程・技術・役割、変えたい条件、希望職種、譲れない条件を伝えます。求人を紹介されたら、提案理由、想定工程、勤務地、客先作業、配属方法を確認してください。

まとめ

SESを辞めたいと感じたら、最初に原因を配属案件、所属会社、仕事内容・キャリア、健康・安全の4つへ分けます。現在の案件だけが原因で、会社が具体的な変更案を示せるなら、案件変更で改善できる可能性があります。

一方、複数案件で同じ問題が続く、評価や配属の説明が曖昧、希望する経験を積む道筋がない場合は、転職活動を始めて比較材料を集める段階です。会社の名称ではなく、担当工程、配属方法、勤務場所、評価制度、働く時間を確認してください。

退職を急ぐ前に、経験の棚卸し、必須条件、生活費、就業規則、必要書類を整理します。ただし、心身の不調やハラスメントなどがある場合は、準備の完成を待たず、休養、医療機関、社内外の相談窓口を優先してください。